電磁波有害説
言説の一般的概念や通念の説明
語句説明
電磁波有害説とは、「電磁波」がヒトの健康に対して何らかの悪影響を与えているとする言説である。本項での「電磁波」とは、「光(可視光)よりも周波数の低い(波長の長い)もの(電波)」を指す。これはたとえば、携帯電話やGPS、電子レンジなどから出ている極超短波や、無線LAN、衛星放送などのセンチメートル波、あるいは電波時計から出る長波などを意味する1。また、いわゆる電磁波過敏症1(electromagnetic hypersensitivity:EHS)の原因対象としてみなされているものである)。
なお、X線やγ線、紫外線などの波長の短いものについては本項目では対象としない(医療用のCTやレントゲンも対象外である)。これらを多量に浴びた場合、健康に悪影響を及ぼすことはよく知られており、一般的な総称としての電磁波有害説とは意味が異なるものだからである。本評定の対象については、下表1を参照されたい。
|
非電離放射線 |
電離放射線 |
||||
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種類 |
静電磁界 |
超低周波電磁界 |
中間周波電磁界 |
高周波電磁界 |
光 |
放射線 |
周波数 |
ゼロ |
300Hz以下 |
300Hz~10MHz |
10MHz~3THz(3000GHz) |
3THz~3000THz |
3000THz以上 |
波長 |
なし |
[長] ←←← →→→ [短] | ||||
利用例 |
地磁気 |
電力設備 |
IH調理器 |
電子レンジ |
太陽光 |
レントゲン |
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対象外 |
本評定の対象 |
対象外 |
以上の前提のうえで本評定では、社会生活上無視できないほどのレベルで、「電磁波が身体に害を及ぼす」「電磁波による健康リスクが存在する」などの説を対象とする。データの面ではメタ分析研究を参照しつつ判定する2。また、本項目は他の多くの評定とは違い「効果」ではなく「害」を対象とするものであることにも注意されたい。
簡単な結論のみ述べると、まず、頭痛、吐き気、めまい、皮膚刺激、疲労感や不快感などの心身への影響については、電磁波を原因とした影響はないと断定してよい。いわゆる電磁波過敏症とされる症状は、電磁波に対する否定的なイメージによって引き起こされているとする可能性が濃厚である。こうした、対象に対する否定的な思い込みがもたらす効果は「ノセボ効果(nocebo effect)」といわれる。電磁波が直接的に悪影響を及ぼしているのではなく、電磁波という語句に対する否定的なイメージ(危険、有害など)によるものであるといえる。
次に、電磁波による発がんリスクについては、一部の研究で限定的にリスク増加を示唆するデータがあるものの一貫したものではなく、他の多くの結果から「リスク増加なし」と考えるのが妥当である。一部のデータではリスク減少がみられており、曝露量が多いほど発がんリスクが高まる、といったわかりやすい関係にもなっていない。電磁波曝露による発がんリスク増加説を支持する根拠を見出すことは難しい。
その他、アルツハイマー病やパーキンソン、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、精子への影響、脳活動、認知機能、睡眠、遺伝子へのダメージなどさまざまな影響が研究されているが、これらのメタ分析の結果では、リスク増加や害を訴える説を支持しない。
- 1:電磁場に起因する特発性環境不耐症(idiopathic environmental intolerance attributed to electromagnetic fields:IEI-EMF)とも呼ばれる。
- 2:評定に先立ち、世界最大の医学研究データベースであるPubMedから、電磁波有害に関するメタ分析研究を調査した。米国国立医学図書館が定める生命科学用語集(MeSH)を用いたMeSH検索を行い、“Meta-Analysis”+“Radio Waves”“Cell Phone”“Electromagnetic Field”などの語句を組み合わせ、関連する文献を振り分けた(2018.4.26時点)。メタ分析の詳しい意味については、こちらを参照されたい。
評定早見表
効果の作用機序を説明する理論の観点
理論の論理性 E(低)
害があるという論理については、有力な仮説は存在しない。X線やγ線に害があるのだから、波長の長さなどが異なる携帯電話の電磁波にも害があるだろう、といった飛躍した類推に留まる主張が多い2。この理屈でいえば、照明でさえも電磁波を発するため有害ということにもなってしまう。
磁界の強さを表す単位に「μT(マイクロテスラ)」がよく使われる。たとえば1μTとは、5A(アンペア)の電流が流れている電線から1m離れた場所での磁界の大きさを表すが、「何μT以上で○○といった害がある」などの定量的な仮説は構築されていないようである。
現在までのところ物理的影響としては、曝露物質の温度上昇程度しかはっきりとした科学的知見はない。日常的に曝露する大きさの電磁波では誤差程度の温度上昇しか起こらないため、その程度の温度で被害が出るとは一般的には考えにくい。
理論の体系性 E(低)
電磁波によって体感できるほどの被害があるとするならば、少なくとも現代の日本社会においてヒトがまともに社会生活を送ることは困難なはずである。
また、人体内には(電波の周波数範囲の)電磁波を感知するセンサー器官はなく、電磁波曝露がどのような経緯を経て影響を及ぼしているか不明である。曝露量が大きければ害やリスクも大きくなる、といった害の程度を説明する物理学や生理学と整合性のある仮説もない。
理論の普遍性 E(低)
害の原因となる有力な仮説が存在しないため、どの程度注意が必要か、何によって防げるかなど、理論の適用範囲も不明である。電磁波による害はかなり多方面の症状から検討されているが、どれも一貫したデータではなく、害を普遍的に論じる理論を確立できないのが現状である。
実証的効果を示すデータの観点
データの再現性 D(低~中)
ここでは、メタ分析研究に基づきながら電磁波による健康リスクについて評定する。評定に先立ち、医学文献の検索エンジンであるPubMedを用いて電磁波による健康リスクに関連するメタ分析研究を調査した。重複文献、中国語で書かれた文献、電磁波による健康リスクの研究ではなかった文献、実際にはメタ分析が行われていなかった文献を除外したところ、合計55件の研究が該当した(2018.4.26時点)。それらを研究内容ごとにまとめると表1のようになる。
以下、表2に基づき、電磁波有害に関する再現性について、1)心身の幸福感(well-being)、2)発がんリスク、3)神経疾患リスク、4)その他の影響に分けて評定する。ただし、実験的環境でこうした害やリスクを測定することはたいへん難しいため、ここでメタ分析の対象となっている研究は、心身の幸福感などに関する一部のデータを除いて「症例対照研究」や「コホート研究」などによる疫学的なデータである。
症例対照研究とは、ある時点で特定の病気にかかっている人と、年齢・性別などの条件が同じで病気ではない人を比較し、その病気と関連する疑いのある要因を調査する手法である。一方、コホート研究とは、現時点(または過去のある時点)で研究対象とする病気にかかっていない人を集め、将来にわたって長期間観察し追跡を続けることで、ある要因の有無が、病気の発生または予防に関係しているかを調査する研究手法である。
両者とも、医学研究としては、RCT2よりは低い信頼性のデータとみなされている。
なお、この項目はたいへん長文なため、要旨のみ把握したい場合、「全体のまとめ」から読むことをすすめる。
電磁波有害説に関するメタ分析研究
研究内容 | 件数 |
---|---|
1)電磁波による心身の幸福感(well-being)に対する悪影響 | 3件 |
2)発がんリスク | |
携帯電話使用による発がんリスク(主に脳腫瘍) | 12件 |
電磁界曝露による小児がんリスク(小児白血病、小児脳腫瘍) | 10件 |
電磁界曝露による乳がんリスク | 5件 |
電磁界曝露による発がんリスク(上記以外) | 6件 |
3)電磁波による神経疾患リスク(アルツハイマー、ALSなど) | 5件 |
4)その他(精子の質、認知機能、遺伝子へのダメージなど) | 14件 |
1)心身の幸福感(well-being)
心身の幸福感についてのメタ分析研究は3件である345。「心身の幸福感」とはここでは、頭痛、疲労感、めまい、動悸や呼吸器官への影響、不安感や不快感などの症状を指し、いわゆる電磁波過敏症が訴える症状の大半はここに含まれる。これらの研究における電磁波は、一般的な携帯電話や電子レンジ、wi-fi使用時に流れる周波数帯900MHz~1800MHzである。以下表3に基づき、各研究のおおまかな概要を述べる。
Röösli(2008)は、合計7件の二重盲検法 による研究から、電磁波過敏症の症状を訴える182名のデータと、過敏症でない332名のデータを比較した3。メタ分析の結果、電磁波による心身への悪影響(頭痛、疲労、めまい、不快感など)は考えにくいと結論付けた(効果量0.04、95%信頼区間[-0.02, 0.11]4)。
Augnerら(2012)では、合計17件の研究における1174名の被験者データから、頭痛、吐き気、疲労、血圧、心拍数などを症状別に分類して分析している4。メタ分析の結果、電磁波がこれらの症状を引き起こす科学的根拠はないと結論付けた。
症状個別のデータではたとえば、頭痛(効果量0.08、95%信頼区間[-0.02, 0.18])、疲労感(効果量0.01、95%信頼区間[-0.09, 0.11])、めまい(効果量-0.02、95%信頼区間[-0.12, 0.08])などが得られており、全体としても影響なしと判断している(効果量0.00、95%信頼区間[-0.04, 0.04])。
Klapsら(2015)は電磁波有害説の研究方法に着目し、「実験的かつ二重盲検法(8件)」「実験的かつ盲検でない研究(2件)」「フィールド研究(9件)」の3つに分類したうえで分析した5。結果、データ精度の高い二重盲検法による研究では悪影響を示すデータが得られていないことが判明した。
一方で、データの精度が低い「盲検でない研究」やフィールド研究では電磁波による害が強く示されていた。これはたとえば、「疲労感」という同じ尺度に対して、二重盲検法を用いた研究では、統計的に有意でなく(p=0.73)、低い効果量(r=0.01)であるのに対し、フィールド研究では、統計的に有意な差(p<0.0001)や盲検法時よりも高い効果量(r=0.15)が得られているといった具合である。最終的に、「ノセボ効果」の可能性が高いとの考察と、電磁波固有の害とは考えにくいとの結論が出されている。
文献情報 | 研究内容と結果 |
---|---|
Röösli 20083 | 電磁波過敏症182名とそうでない人332名のデータで条件統一し、該当した7件の研究をメタ分析(効果量0.04、95%信頼区間[-0.02, 0.11])。ノセボ効果の可能性が高いと結論。 |
Augner, et al. 20124 | 頭痛など11の症状で条件統一。17件の研究、1174名のデータを症状別に分析し、電磁波による害なしと結論(効果量0.00、95%信頼区間[-0.04, 0.04])。 |
Klaps, et al. 20155 | 合計17件の研究を研究方法別に3タイプに分類し、タイプ別に分析。データ精度の高い二重盲検法では統計的に有意な差や高い効果量が見られていないが、精度の低いフィールド研究などではこうした差が見られるという結果。ノセボ効果の可能性が高いと結論。 |
2)発がんリスク
発がんリスクについてのメタ分析研究は33件あり、腫瘍別だけでなく、測定対象の違いから、「携帯電話使用による影響」「電磁界曝露による影響」の二つに区別することができる(両者とも電磁波であることに変わりはない)。これは、たとえば高圧電線の近くに住んでいることや電子レンジやテレビなどから発せられる電磁波、または電力作業員等の職業的な曝露による影響を意味する。
これらは多くの場合、静磁場ではなく交流電力線に由来する変動磁場の影響である。調査としては、電磁波の発生源からの距離を基準としている研究が多く、世界各国で大規模に行われているものもある。表4は各メタ分析の概要をまとめたものである。
ここでは、①携帯電話使用による発がんリスク、②電磁界曝露による小児がんリスク、③電磁界曝露による乳がんリスク、④その他発がんリスク、の4点から評価する。
表4 各メタ分析の概要
①携帯電話使用による発がんリスク
携帯電話使用による発がんリスクについてのメタ分析研究は12件ある6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17。脳腫瘍リスクを中心的に、使用時間別に研究されている文献が多い。
携帯電話の使用時間を測定対象として分析した研究では、Hardellらのグループによる研究がよく目立つ。Hardellはこの領域における主要研究者の一人であり、メタ分析の基となる基礎データの多くは彼らの研究グループが提供している。
Hardellら(2006)は、携帯電話使用期間が1年以上の対象者において脳腫瘍の一種である聴神経腫のリスクが統計的に有意に増加するとの結果を示した(オッズ比1.5、95%信頼区間[1.1-2.0])6。またCarlbergとの共同研究では、携帯電話の長期間使用によって神経膠腫リスクが高まることを強く指摘している(Carlberg & Hardell, 2017)7。
一方,統計的に有意なリスク増加はない、あるいはリスクが減るとの分析結果もある。たとえばKanら(2008)は、脳腫瘍全体でみると携帯電話の使用によってリスクはむしろ下がるとの分析結果を示している(オッズ比0.90、95%信頼区間[0.81-0.99])8。またRepacholiら(2012)は、脳腫瘍の種類別および携帯電話の使用時間別に研究を整理し、どの分析においてもリスク増加はないとしたうえで、髄膜種については携帯電話の短期間使用によってリスクが減るとの結果を示した(オッズ比0.82、95%信頼区間[0.72-0.94])9。
またこの研究では、疫学研究の限界として、リコールバイアス5などの要因の介在について考察している。症例対照研究では発症時点から遡ってその要因を推定するため、サンプルの偏りや実験者の質問の仕方、被験者の記憶によってデータ信頼性は大きく変わる。特に、これまでリスク増加が見られたとしている研究では、特定の研究者(たとえばHardell)による確証バイアスの介在が懸念され、こうした問題点の克服が必要であると述べている。さらに、症例対照研究の場合、盲検の有無は研究の質にあまり寄与しない点も指摘している。
一方、長期間使用した場合においてのみ、発がんリスクが増加するとの研究結果も少数ある。たとえばLevisら(2011)はこれまでの研究成果を分析し、「リスク増加がある」とする研究は質が高く、「リスク増加はない」とする研究は質が低いと考察している10。特に、リスク増加がないとする研究では、リスクの過小評価やデータの無視が行われていると主張している。ただし、この研究における分析でも、ごく一部の脳腫瘍リスクのみの増加がみられているだけである。
携帯電話使用をリスク要因としている文献ではこのように、リスク増加を示す結果とそうでないとの結果(あるいは減少するとの結果)が混在しており、これは研究内の詳細分析においても研究文献ごとにおいても同様の傾向である。
②電磁場による小児がんリスク
小児がんリスクについての研究は10件であり
18
20
21
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23
24
25
26
27
28、確認できる中ではWashburnら(1994)の研究が最も古い18。もともと電磁波による健康リスクの問題は、1979年にWertheimerらの疫学研究において小児白血病のリスク増加が示唆されたことが発端である19。Washburnら(1994)の分析は、このWertheimerらの研究を含めてその後の追試を統合したもので、実際、リスク比1.49、95%信頼区間[1.11-2.00]という結果が得られている。しかし、その後の分析結果は安定していない。
たとえばLoomisら(1999)の研究では、小児白血病リスクについて1979年~1997年に出版された24報に基づき分析している20。曝露量の推定方法として、発生源付近を連続時間測定(24時間)しているものではリスク比1.66、95%信頼区間[1.09-2.53]の結果である一方、特定スポット(電磁レンジ、高圧電線付近)の測定値から推定する方法ではリスク比0.99、95%信頼区間[0.60-1.66]と、統計的に有意な結果ではない。統合された研究数や区間推定の幅からは後者の方が精度が高いとも考えられるため、本当にリスクがあるのか、あるとすればどのくらいかを推し量るのは難しい結果である。
またKheifetsら(2010b)の分析によると、2000年以降に発表された症例対照研究のデータにおいて、推定曝露量の多寡、対象地域(ブラジル、ドイツ、日本、タスマニア、イギリス、イタリア)に関わらずリスク増加を支持しない結果であった21。
小児脳腫瘍リスクに関する研究を含めてリスク増加なし、あるいは限定的にリスク増加ありとの結果に留まっている。リスク増加ありとする研究では、調査した国ごとによる値のばらつきや条件による違いがみられる。
少なくとも、さまざまなバイアスの影響を超えるほどの大きさのリスク増加はどの研究からも見いだせず、電磁波曝露によって小児のがんリスクが高まるとは考えにくい結果である。また、比較的大きなリスク増加を示している元の調査データは2000年代以前に調査されたデータであり、最近のデータは否定的な傾向である。
③電磁界曝露による乳がんリスク
乳がんリスクについてのメタ分析は5件である
29
30
31
32
33。Erren(2001)は男女の乳がんリスクについて、1983年~2000年までのデータを分析している29。結果、リスク増加がみられる(リスク比1.37、95%信頼区間[1.11-1.71](男性)、リスク比1.12、95%信頼区間[1.09-1.15](女性)など)。ただし、分析基準によるばらつきがみられる。
またZhaoら(2014)は、2000年~2007年までの症例対照研究のデータを基に分析している30。データ全体でリスク増加がみられているものの(オッズ比1.10、95%信頼区間[1.01-1.20])、分析基準によるばらつきがみられる。
以上、これまでのところ、わずかなリスク増加が認められるように見える。しかし、分析基準による結果のばらつきがみられ、データが安定しない傾向もある。また、仮にリスク増加があるとしても日常レベルで意味のある数値とは考えにくい結果である。
④その他発がんリスク
上記の分類に含まれていない研究
34
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36
37
38
39について、たとえばZhangら(2016)は、電磁界曝露による脳腫瘍、乳がん白血病リスクを総合して分析している34。条件によってはわずかにリスク増加を示す分析があるものの、別の条件ではリスクが低下するといった分析もある。Kheifetsら(2008)が指摘しているように、一貫したデータは得られていないのは問題である。メタ分析の結果同氏が整合的でなく、偶然による変動である可能性がある35。
3)神経疾患リスク
電磁波による神経疾患リスクについても複数回メタ分析が行われている
40
41
42
43
44。対象となっている神経疾患は主に、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)である。表5に示す通り、リスク増加を示唆する一貫したデータはない。
たとえばGarcíaら(2008)は、アルツハイマー病リスクを対象に、5件のコホート研究、9件の症例対照研究を分析しているが一貫した結果ではない41。コホート研究において、0.5μT以上の曝露でリスク増加を示しているものの1.0μT以上の曝露ではリスク増加がなかったりもしている。加えて、症例対照研究については出版バイアスの影響が懸念される。
Zhouら(2012)はALSリスクを分析しているが、症例対照研究ではリスク増加(オッズ比1.39、95%信頼区間[1.05-1.84])があった一方で、コホート研究ではリスク増加がみられない(リスク比1.16、95%信頼区間[0.80-1.69])など、一貫した結果ではない42。
さらにSorahanとMohammed(2014)は、イギリスに住む電力作業員を対象にアルツハイマー病リスク、パーキンソン病リスクを分析しているが、すべての分析で統計的に有意なリスク増加は検出されず、影響なしと結論付けている44。
文献情報 | 対象疾患 | 結論 |
---|---|---|
Ahlbom 200140 | 自殺、うつ症状、アルツハイマー、ALS | 電磁波曝露と精神・神経疾患との関係を分析。アルツハイマー(5件)、ALS(7件)などでリスク増加と結論。 |
García, et al 200841 | アルツハイマー病 | 5件のコホート研究、9件の症例対照研究を分析。リスク増加を示す結果もあるが一貫していない。たとえば、コホート研究では、0.5μT以上の曝露でリスク増加を示しているが、1.0μT以上ではリスク増加なし。症例対照研究が出版バイアスとして影響していると分析。 |
Zhou, et al. 201242 | ALS | 症例対照研究ではリスク増加だったが(オッズ比1.39、95%信頼区間[1.05-1.84])、コホート研究では統計的に有意なリスク増加はない(リスク比1.16、95%信頼区間[0.80-1.69])と結論。 |
Capozzella, et al 201443 | ALS | 電磁波および農薬などの化学物質によるALSリスクの分析。1980年~2013年までのデータを対象。分析の結果、データ全体ではALSリスク増加はみられないと結論。 |
Sorahan, Mohammed 201444 | アルツハイマー病、パーキンソン病 | イギリスに住む電力作業員を対象に分析。すべての分析で統計的に有意なリスク増加は検出されず、影響なしと結論。 |
4)その他の影響
電磁波による影響はその他にもさまざまな面から調査されている
45
46
47
48
49
50
51
52
53
54
55
56。表6には、研究内容別にこれらメタ分析の概要を記載している。
たとえば、Vijayalaxmiらによる継続的な分析によって、電磁波曝露によるヒト遺伝子に対する影響はないと結論づけられている
47
48
49。認知機能への悪影響についてもすべてのメタ分析で否定的な結果が出ており
50
51
52、同じように、脳活動や睡眠などにも影響はないようである54。唯一、Barthら(2008)によって携帯電話使用による注意、作業記憶への影響が懸念されるデータが示唆されているが55、他の認知機能に対して影響がない以上、どの程度訴求力のある結果なのか疑問である。
また、「電磁波によって精子が死ぬ」といった主張がみられることがあるが57 、2件のメタ分析では
45
46、電磁波による精子の生存率や濃度には影響がないとの結果が出ている(電磁波曝露後の運動性のみ、わずかに低下することを示唆するデータではある)。
文献情報 | 対象疾患 | 結論 |
---|---|---|
Adams, et al. 201445 | 精子の質 | 携帯電話使用によるヒト精子への影響を分析。携帯周波数と同じ電磁波を短期間浴びせ、精子の運動性、生存率、濃度の測定数値を分析したところ、運動性の低下がみられたが、生存率と濃度には影響なし。 |
Liu K, et al 201446 | 精子の質 | 携帯電話使用による精子(動物含む)への影響を分析。ヒト精子の運動性、生存率、濃度に影響なし。 |
VIjayalaxmi, Prihoda 200847 | 遺伝子へのダメージ | (VIjayalaxmi, Prihoda 2012)が最新のデータ。 |
VIjayalaxmi, Prihoda 200948 | 遺伝子へのダメージ | (VIjayalaxmi, Prihoda 2012)が最新のデータ。 |
VIjayalaxmi, Prihoda 201249 | 遺伝子へのダメージ | 遺伝子へのダメージは明確でなく、この分析結果は電磁波曝露による発がんリスクについての根拠を提供しないと結論。 |
Barth, et al 201050 | 認知機能への悪影響 | 電磁場による影響を分析。結果、統計的に有意な差は検出されず、もし仮に、悪影響があったとしても非常に小さな効果量であると結論。 |
Valentini, et al. 201051 | 認知機能への悪影響 | 携帯電話使用による認知機能への悪影響を計24研究からメタ分析。結果、認知機能への影響はなく、出版バイアスが明らかになったと結論。 |
Barth, et al 201252 | 認知機能への悪影響 | 携帯電話使用による影響を分析。すべてのデータで統計的に有意な差は検出されず、影響なしと結論。 |
Graham 200053 | 心拍変動6 | 電磁波曝露のある職業人172名を対象。低周波帯(0.0-0.1Hz)でも高周波帯(0.15-0.40Hz)でも、比較群と統計的に有意な差はなし。 |
Hamblin 200254 | 脳活動や睡眠 | 携帯電話使用による、脳活動や睡眠への影響を分析。測定基準のばらつきがみられ、携帯使用と脳活動、睡眠との間に関連性は見いだせないと結論。 |
Barth, et al. 200855 | 注意、作業記憶 | 携帯電話使用による影響をメタ分析。分析の結果、わずかに影響すると結論。 |
Moussa 201156 | 健康全般(がん、認知機能、脳活動など) | 2000年~2010年に発表された、69件の研究(うちメタ分析17件)を分析。電磁波、携帯電話が健康に悪影響を与える確たる根拠はないと結論。 |
全体のまとめ
1)心身の幸福感についてのまとめ:
少なくとも、これまでのメタ分析の結果では、頭痛、疲労感、めまい、不快感などの原因として電磁波を同定する科学的根拠はないようである。電磁波が心身の幸福感(well-being)に対して悪影響を及ぼす根拠はないと思われる。加えて、いわゆる電磁波過敏症を訴える人たちとそうでない人たちとの比較により、過敏症の症状が思い込みによってもたらされていることも示唆されている(ノセボ効果)。電磁波が直接原因となっているのではなく、電磁波がもたらす否定的なイメージ(危険、有害など)がこうした症状を引き起こしていると推察される。
2)発がんリスクのまとめ:
携帯電話使用による発がんリスク増加はないと考えてよい。「リスク増加がある」とするメタ分析研究もあるものの、それらは条件を限定した場合のみであったり、ごく一部の種類の腫瘍にしかリスク増加がみられていなかったりと、特殊な条件や分析によるものである。また、一部のデータではリスク減少がみられていたりと、一貫性のあるデータが提供されていないことも指摘できる。よしんばリスク増加があるみなしてもたいへん小さい数値であることは確かなようで、こうした数値に実質的にどの程度意味があるかは疑問である。
電磁界曝露量を指標にした発がんリスクについても否定的な結果である。限定的にリスク増加を示唆するデータもあるものの一貫した結果ではなく、分析基準によるばらつきが非常に大きい。曝露量が多いほどリスクが高まる、といったデータが得られていれば理解が得られるが、そういった関係性にもなっていないようである。
実際、「携帯電話の使用によって脳腫瘍のうちの神経膠腫リスクが高まる」との結果に対し、「しかし、髄膜種のリスクは逆に低くなる」との結果や、「wi-fiなどの電子機器によるリスク増加はない」との結果が同じくあり、こうした分析にどの程度意味があるか、一般性があるのかの判断は難しい。
総じて、メタ分析の結果においても測定基準によるばらつきが目立ち、発がんリスクを支持する根拠を見出すことは難しい。リスクが低下することを示唆するデータすらあるため、電磁波による悪影響という前提に疑問が残る。
3)神経疾患リスクのまとめ:
アルツハイマー、パーキンソン、ALSについて、電磁波曝露によるリスク増加はないだろう。これまでのデータでは、神経疾患リスクを高めることを支持するのは難しい。また、昔のデータでは「リスク増加あり」だったのが、近年のデータでは「リスク増加なし」という傾向も見られ、偶然による変動である可能性が高い。
4)その他の影響についてのまとめ:
精子への影響、脳活動、認知機能、睡眠、遺伝子へのダメージなどさまざまな影響が調査されているが、多くのメタ分析の結果からは、リスク増加や害を支持しない。
- 3:RCTの詳細についてはこちらを参照されたい。
- 4:効果量、信頼区間、リスク比(後述)、オッズ比(後述)などの用語についてはこちらを参照されたい。
- 5:リコールバイアスとは、被験者の過去について質問をしたときに、思い出し方が質問者や質問法によって異なることによって起きるバイアスである。症例対照研究で特に問題となりやすい。
- 6:心拍一拍ごとの変動を測定し、心臓の自律神経緊張の指標とすること。英語名Heart Rate Variability/HRVである。
データの客観性 D(低~中)
メタ分析の対象となっている研究については統計的な手順を経たデータであるため信用できる。ただし、リスク増加を支持するデータはほとんどない。
また、メタ分析についても、RCTでなく症例対照研究やコホート研究などの疫学研究を基にした分析データは慎重に取り扱う必要があるだろう。これは電磁波有害説に特有のことではないが、症例対照研究では被験者の記憶を手掛かりにリスク要因を探るため、そもそも客観的とはいえない部分がある。実際、今回調査した複数の研究でもリコールバイアスによる影響が懸念されており、データ収集上の課題といえる。
データと理論の双方からの観点
データ収集の理論的妥当性 D(低~中)
真に電磁波による影響と考えてよいのか疑問が残る。疫学研究の限界ではあるものの、こうした調査ではある程度被験者の記憶に頼らざるを得ず(症例対照研究)、また、実験者があらかじめ「電磁波による害」と特定の原因を想定していると、質問内容に偏りが出ることも知られている。もともと、疫学研究のデータは相関関係をベースにして分析しているため、因果関係の推定にはより注意を払うべきである。体調の変化が電磁波以外の要因で起きた可能性が十分に検討されていない面があり、測定手法に疑問が残る。
理論によるデータ予測性 E(低)
電磁波の強度に比例した被害の拡大など、単純な予測は可能ではあるが、それ以上の具体的な予測がない状態である。どの程度の強さの電磁波をどのくらいの期間、どういう人が曝露したら害になるのかといった作用機序が明らかになっていないのである。
このことを端的に表している研究がZhangら(2016)の示すデータである。Zhangら(2016)のメタ分析では、スウェーデンでの調査において、高圧電線などの電磁場においてがんに罹りにくくなるというデータが得られている。しかしながらこれは、Hardellらによる携帯電話使用を原因とした発がんリスクの調査結果とは逆の結果となっている。
再現性で述べたように、Hardellらの研究グループは長年、携帯電話使用による発がんリスクについて継続的に調査を行っている。実際、かなり大きなリスク増加がみられたとしている研究もあるが58、その調査地域がスウェーデンなのである(Hardell自身がスウェーデン人である)。もし電磁波曝露によって発がんリスクが増加するのであれば同様の傾向がみられるはずである。しかし、実際はそうなっておらず、一貫性を欠いたデータである。電磁波の発生源によってデータが異なるのであれば、それを裏付ける理論が立てられない間は予測性は低い。
社会的観点
社会での公共性 E(低)
まずは、電磁波の安全性に対する国際的な取り組みについて述べる。たとえばWHOは「電磁波による健康影響について、全世界で多くの研究が行われているが、それらの研究の結果を総合的に判断して、身のまわりの電磁波で、小児白血病に関連する証拠は因果関係とみなせるほど強いものではない。その他の疾病は更に証拠が弱い」との見解である59。
また、国際がん研究機関(IARC)は電磁波による発がんリスクを「2B」のグループに分類している。これは、コーヒーやわらび、漬物などと同じカテゴリーで、「発がん性があるかもしれない」という意味である。ただし、この分類はリスクの大きさではなく科学的根拠の確からしさを示していることに注意が必要である。因果関係は不明であるが、予防的にこうしたガイドラインを定めているのである60。
日本では、総務省が電磁波の人体への影響についての見解を述べているが、電流による刺激作用と熱作用以外には否定的であり、日常生活上無視できないレベルのリスク増加はないという見解である61。一方、こうした規制にある種の政治的な力が介在しているとの疑義が電磁波有害肯定派・否定派の双方からなされており、論争化していることが推定される。
このように、電磁波の影響については国際的にかなりレベルの高い取り組みがなされていることがわかる。しかしながら、有害を支持する見解やデータはほとんどなく、「有害である」ことを肯定する公共的な取り組みとはいえない。
議論の歴史性 C(中)
1990年代に各国で大規模な科学的調査が行われている。特に米国での研究は多く、米国物理学会や全米科学アカデミー、米国学術研究会議、米国国立ガン研究所などで行われている。そうした中で携帯電話やラジオ電波による健康への影響に関する議論の蓄積はあるものの、どれも慎重な見解に落ち着いており、有害説を支持する議論はほとんどない。むしろ、こうした議論の経緯や科学的な合意が一般市民に対してうまく伝わっておらず62 、それが恐怖として伝えられてしまっている問題を指摘できる。
社会への応用性 E(低)
これまでの研究結果から、まず、短期的な曝露による電磁波の健康影響はないと考えてよい。いわゆる電磁波過敏症については、電磁波に対する否定的なイメージによって引き起こされることが強く示唆されており、電磁波による固有の害とは考えにくい。電磁波を不調の原因と考え、否定的な思い込みに陥らないことが症状改善に向かうための一つの方策だろう。
また、発がんリスクなどについても、一貫したデータがなく、現時点でリスク増加とみなせるほどの科学的根拠はないといえる。電磁機器による社会的なメリットは明らかなものであり、有害説を広める意義はないだろう。
総評 疑似科学
電磁波による健康への悪影響を肯定できる信頼性の高い研究的知見はないといってよい。たとえば、発がんリスクについて示唆するデータは限定的にあるものの一貫したものではなく、リスク増加がないとする研究の方が量的にも遥かに多いので、統計的な誤差範囲のゆらぎでしかない。また、リスク増加があったとする研究においても、少なくとも日常生活において考慮すべきほどの高いリスクは測定されていない。理論面・データ面の双方から疑似科学と評定できるだろう。
また、WHOやIARCなどの国際機関では、電磁波による健康影響を予防原則に基づいてかなり厳しく規制している。IARCが電磁波による発がんリスクを2Bグループに分類していることもこうした原則に従っているからであり、これを以って「電磁波に害があることは国際的に認められている」と主張するのは誤りである。
電磁波過敏症については、対象(電磁波)に対する否定的な思い込みによってもたらされていることが、ほぼ明らかになっているといってよいだろう。電磁波に対する「悪い」イメージの背景には、自然信奉や現代文明、あるいは政府(体制)などに対する不信感があると推定でき、そうした直感が個人の信念として形成されていると思われる。直感に沿う情報ばかりに従うと誤った印象形成を行ってしまう可能性があるため、理性的な判断に基づいて考えていくことが大切である。
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