TOP
      代替医療デトックス

デトックス

言説の一般的概念や通念の説明

語句説明

デトックスとは、体から老廃物や不純物を排出することで健康を実現しようという方法である。ただし、何をどのように排出するのかという点については全く曖昧である。アルコール依存症や薬物依存症における薬物排出を目的とした、医療としてのデトックスとは区別される。また、重金属の排出に限定したキレート療法とも異なる。
つまり、デトックスが何を意味しているのか?という定義づけが(少なくとも学術的には)されておらず、用語として全く不明瞭な状態である。

効果の作用機序を説明する理論の観点

理論の論理性 E(低)

食物繊維の摂取や、キチン・キトサンの摂取等、一部、論理的な説明を与えた仮説は存在するが、ほとんどがイメージ優先の説明であり、論理的でない。

理論の体系性 E(低)

多くのデトックス関連書籍で書かれているのは、ありていに言えば一般的に支持されている「健康で文化的な生活(食事内容、睡眠時間などの生活習慣)」を守る(保つ)、といったものであり「デトックス」という用語が用いられる根拠がない。

理論の普遍性 E(低)

作用機序・効果が不明であり、普遍性を判断できる状態にない。

実証的効果を示すデータの観点

データの再現性 E(低)

科学論文は発表されておらず、デトックス関連業者の説明が全てである。また、こうした業者による検証可能な効果の測定や公開は行われていない。健康への悪影響を低減するという主張を支持するような、再現可能な研究はない。

データの客観性 E(低)

科学論文が発表されておらず、客観性を判断できる状態にはない。

データと理論の双方からの観点

データ収集の理論的妥当性 E(低)

たとえば採血により血液中の毒素(デトックス言説における「毒素」が何を指しているのかそもそも曖昧であるが)を測定するなどすれば、妥当なデータが得られるはずである。しかし、そうした根拠を示す研究は行われていない。

理論によるデータ予測性 E(低)

デトックス言説における「毒素」とは何なのか。あるいはそれが、肝臓、腎臓、皮膚など人体において老廃物を排出する器官の働きとは“何が異なっているのか”という理論が与えられていない。
デトックスによる「健康促進」の定義も曖昧であり、予測性を判断できる状態にない。

社会的観点

社会での公共性 E(低)

現在、デトックス研究を継続的に行っている団体は確認できない。そもそも、デトックス自体が何を指しているのかが不明瞭なため、研究発表を行うことができるような土壌が整っていないといえる。デトックス効果が謳われているものの多くは販売業者によるものであり、公共性は低い。

議論の歴史性 E(低)

デトックスの定義が不明瞭であり、そもそも科学的議論という段階にない。特に日本においては「文化」として根付きかけている意味もあり、デトックスという用語が「使われてはいる」が「検証」される様子はない。

社会への応用性 E(低)

デトックス言説では、その用語とイメージが先行している。定義すらあいまいなまま製品が流通しているのが現状であり、思い込みだけで健康効果が謳われている状態である。
また上記の通り、デトックス言説においてそれが何を排出しているのかという“主体”が明らかにされていない。“デトックス”という、何となく耳慣れない語句に健康効果という概念を付加させ「科学用語」として社会に送り出されていると見受けられ、製品を売るための販売戦略としているのが実情だ。

総評 疑似科学

商品を売らんがための説明に終始しているものが多く、科学的検証の対象とはなっていない。科学的な説明に見せかけた根拠のない説明も多いため疑似科学と判断する。余談になるが、キレート療法によって心臓発作や脳卒中のリスクを低減できる、自閉症の症状を軽減できるという主張もあるが、こちらも疑似科学である。

 

関連書籍

  1. ASIOS『謎解き趙科学』彩図社2013
  2. ベン・ゴールドエイカー『デタラメ健康科学』河出書房新社2011
  3. ジェーン・スクリブナー『体内毒出し30日プログラム~本場英国式セルフ・デトックスですっきり!』祥伝社2005
  4. 正岡慧子『体内浄化(デトックス)のこつ~病気をよせつけない新食事読本』秀和システム 2006
  5. 大森隆史『デトックス・バイブル』マガジンハウス2006
  6. 大森隆史『デトックス・バイブル』マガジンハウス2006
  7. サイモン・シン、エツァート・エルンスト『代替医療のトリック』新潮社2010
  8. 横森理香『40代・デトックス処女』河出書房新社2007