予防医学(Preventive Medicine)

予防医学とは「病気になったら治す」という医学に対して、病気を未然に防ぐという発想のもと「病気になりにくい身体を作る」ことを目指した医学の考え方です。食生活や生活習慣の改善、予防接種、健康教育などもこれに含み、特にQOL(quality of life=生活の質)に配慮しています。

2008年4月より、「特定健康診査(いわゆるメタボ健診)・特定保健指導」がスタートしました。これは、近年増加傾向にある生活習慣病への予防に重点が置かれた制度です。厚生労働省主導で実施されているこの政策は、生活習慣病予備軍が生活習慣を見直す手段、ひいては国の財政を圧迫し続ける医療費の削減を目指しています。

メタボ健診では、生活習慣病の予備群(メタボリックシンドローム該当者)、さらに予備群の予備群まで抽出することに重点が置かれ、これにより将来考えられるリスクを踏まえた、個々人に合わせたオーダーメイドの健康指導を行うことができるとされています。また、生活習慣病患者やその重症化を防ぐことにより、国民医療費の節約、削減を達成する目論見も含まれています。また、このメタボ健診の実施は国から自治体に義務付けられており、達成目標や罰則も設けられています(※罰則は自治体へのものであり、個人に対する罰則はありません)。

しかし、病気のリスクを予防することは簡単ではありません。それは、食生活、運動、飲酒や喫煙など介在する要因が多く、同時に、それらを管理することに大変苦労するためです。たとえ生活習慣において医師のカウンセリングを受けたとしても、現実の生活でそれを反映させることができなければ予防医学の実践にはならないでしょう。

こうした中、生活環境を改善するための新しい試みも注目を集めています。食生活や運動習慣を自分で見直すことはやはり容易ではないため、意識の高さのみが先行してしまい、フードファディズムに陥ってしまうこともあるかもしれません(機能性表示食品サプリメントに頼りすぎる生活もこれに含まれます)。

予防を実践すること自体に多大な労力が必要とされることを意識し、自らのライフスタイルにあった行動を心がけることが大切でしょう。