コールド・リーディング(Cold Reading)

占い師や霊媒師(Psychic)が来談者の過去や将来を読み解いた口述は、一般にリーディング(Reading)と呼ばれます。そのうち、超常的な能力による口述をサイキック・リーディング(Psychic Reading)と呼ぶ一方、来談者とのコミュニケーションを通してあたかも超常的能力を発揮しているかのような印象を植えつける口述を、コールド・リーディング(Cold Reading)と呼びます。コールド・リーディングを行うにあたってはさまざまな手法が開発されており、いわゆる占い師の指南書にあたる本に掲載されていますが、来談者の一部が事前にわかっている場合、その人に関する身元調査を行ったうえ口述するホット・リーディング(Hot Reading)もよく知られています。


コールド・リーディングの手法をまとめると以下のようになります。

<第1の手法> 十中八九は当たることを言うテクニック

・バーナム言明:ほとんどの人に合致する一般的事項を述べる。
「あなたは自分自身に対してかなり批判的になる傾向がありますね」
・虹色の戦略:対極的な傾向について同時に述べるので、どちらにしても当たる。
「あなたは控え目に行動することを旨としていますが、ときに場を盛り上げる役にまわることもできる人ですね」
・隣の芝生:来談者の未練を利用する。
「心のどこかであなたは、自分の専門的能力を開花させる余地がないか思案していますね。18カ月のうちにその問題を解決する手がかりが得られますよ」
・細やかなほめ言葉:来談者の信じたいという気持ちを利用する。
「あなたは完璧ではありませんが、本当に大事な場面では信頼されることがいかに大切かを十分に理解しています」
・まぐれ当たり狙い:あらかじめ統計的に確率が高い事柄を用意しておく。
「どういうわけか、8月の終りに意味があるように感じます。それと、あなたに関係のあるイニシャルがTKの人物です」、男性の来談者には⇒「子どものころ楽器を習おうとしたが、やめてしまいましたね」、女性の来談者には⇒「昔は髪をのばしていましたね」「落として片方になったイアリングをしまってありますね」

<第2の手法> 来談者から情報を引き出すテクニック

・あいまいな事実:おおざっぱに述べて反応を引き出す。
「胸のどこかこの辺に(と言いながら、胸でなく腹部に手をあてて)、問題があるような兆候を感じます」
・ベールをかけた質問:情報を与えたように見せて情報を引き出す。
「お金に関する心配事がここに示されています。何か思い当たることがあるはずです」
・直接の質問:来談者を協力者にする。
「私はいくらでも話をうかがいますし、あなたを助けてあげたいとも思っています。が、あいにく時間は限られていますので、まずは、抱えている主要な問題をお話しください」

<第3の手法> 予言の不確実さを利用したテクニック

・確実な予言:いつかは必ず起きることを述べる。
「新しく誰かがあなたの人生に入ってこようとしています」
・自己成就予言:来談者が自ら進んで行なうことをうながす。
「あなたはもっと前向きで友好的にふるまうようになります」
・検証不可能な予言:当たらなかったことは検証できない。
「あなたの仕事に大きな影響を与えるメッセージを誰かが伝えようとしています。しかし、ぎりぎりになって伝えるのを思いとどまるかもしれません」

<第4の手法> 誤ったときに対処するテクニック

・分岐テクニック:相手の否定的反応を見て即座に対応を変える。
「あなたは自分自身に対してかなり批判的になる傾向がありますね」に否定的な場合⇒「その傾向をうまく抑制できるようになったので、もう問題ないですね」、「あなたは子どもを相手にする仕事をされてはいませんか?」に否定的な場合⇒「違うと思いました。そういうのは、あなたの役割じゃありませんから」
・正しさの主張:否定的な反応に対して、あくまで正しさを貫く。
「昔のことで、あなたは覚えていないのかもしれません」「身内の別の方のことで、あなたは知らないのかもしれません」「かなりはっきりした印象ですから、近いうちに明らかになるでしょう」
・間違いを認める:否定的な反応に対して謙虚な姿勢を見せる。
「間違いでした。100%当たると言いたいところですが、誰もそんなことはできませんね」
・道具の権威づけ:否定的な反応に対して解釈の誤りと言う。
「タロットカードには正しく出ていたのですが、私が解釈を誤っていたようです」
・当てものからの撤退:否定的な来談者をかわす。
「リーディングは何かを当てるものではありません。今日は十分に楽しんでいただき、数週間たってから、本当に役に立ったかどうかご判断いただきたい」
・懐疑的姿勢を賞賛する:否定的な来談者を支持して味方につける。
「疑わしいと思うのも当然です。最近は怪しいことだらけですから。しかし、私たちが手にしているのは、古くから伝えられた知識の体系です。合理的精神の方ほど得るところが大きいのです」
・懐疑的姿勢を批判する:否定的な来談者を(返金してでも)帰す。
「実のところ、あなたとの間では信頼関係が築けないようです。サイキックの感覚は、非常に繊細なバランスが必要で、習得には長い年月を必要とするのです。あなたに手を差しのべようとしても重要なチャンネルがブロックされてしまい、うまくいきません」