医薬品区分(Division of medical supplies)
私たちが服用している「薬」にはさまざまな種類がありますが、大きく区分すると次のようになります。
まず、医師の診断(処方)によって供給される医薬品を「医療用医薬品」といいます。病院へ行って処方される薬は基本的にこの区分となります。
次に、医師による処方箋がなくても購入できる薬についてですが、これを「一般用医薬品(OTC)」といい、「第一類医薬品」、「第二類医薬品」、「第三類医薬品」に分けられます。その中で、かつて医療用医薬品だったものから一般用医薬品となった医薬品を特に「スイッチOTC医薬品」といいます。この区分は、主にヒト体内に対する「リスク」に基づいて分けられており、販売においては許認可制が採られています。
他に、「医薬部外品」「家庭用医療機器」といった言葉もよく聞きますが、「医薬部外品」は販売の許認可が必要ない製品(区分としては医薬品と化粧品の中間)、「家庭用医療機器」は「その機能に障害があった場合、人の健康に影響を与える可能性のある機器」と定義できるでしょう。
こうした区分において、「第一類医薬品」のほうが「第二類医薬品」よりも「よく効く」ような錯覚を覚えがちですが、これは正確ではありません。確かにこのような言い方もできるかもしれませんが、医薬品の区分は主に「リスク」に基づいて組み分けられており、一個人の疾患への有効性を担保するものではないのです(※ただし、一般にリスクが高いもののほうがより強い効果が得られうるため、そういう意味で医師による処方箋が「必要」な医療用医薬品と一般用医薬品の間には、効果の差にも大きな隔たりがあると考えられます。)。何がどのように効くのかは個人によって大きく異なるため、自分の体質に合った薬を選ぶことが大切でしょう。
他に、疑似科学の分野では「○○(疑似科学性の疑われる製品)は医療機器として登録されているから効果がある」といった主張も見かけますが、医療機器に含まれるものは医療用CTやMRIから避妊用コンドームやマッサージ器までと幅広いため、「医療」という冠詞だけで過度な期待を抱く必要はありません。