医業類似行為(Quasi-Medical Practice)

医業類似行為とは、医師資格を持つ医師以外の者が行う医療行為のことをいいます。日本では、国によって定められた資格を取得した医師以外が医療行為を行うことを基本的に認めていません。これは、多くの医療行為には身体に害を与える可能性があるためで、そのため日本国憲法における「職業選択の自由」への侵害ともなりません。 

ただし、「あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律」と「柔道整復師法」において定められた身分の者は、例外的に規定の医療行為を行うことができます。また、法定などで定められているもの以外、たとえば民間療法なども医業類似行為といえます。

法に基づかない医業類似行為(無届医業類似行為)の代表的なものには、カイロプラクティック、整体、気功、温熱療法、電気治療などがあります。これらの取り扱いについては厚生労働省により通知されていますが(注1)、明示化された法律については未だありません。

こうした治療法において、国は「何かしらの実害があらわれない限り、禁止や処罰を行わない」という方針を実質的に示しています(注2)。つまり、施術を受けた者が健康被害を訴え出ない限り、問題にはなりにくいのです。これは、いわゆるニセ医療などを蔓延させる温床ともなり得ますが、一方で、通常医療に希望を見いだせず、日々の暮らしに絶望している人たちの受け皿になるという側面もあります。
注1 医業類似行為に対する取扱いについて 平成三年六月二八日 医事第五八号 各都道府県衛生担当部(局)長あて 厚生省健康政策局医事課長通知 
(医業類似行為に対する取扱いについて)(参考 2016-9-3) 
注2 「HS式高周波療法の施行とあん摩師、はり師、きゅう師及び柔道整復師法十二条違反罪の成否」などから